抽象化の効用

こんにちは、やなべです。

以前のブログで紹介したのですが、落合陽一さんの「忘れる読書」という本の中で、価値を生み出すには持続可能な教養を持つことが必要であり、そのためには物事を抽象化する思考を身に着けることが必要だと書かれていました。落合さんによれば、抽象化というのは、物事をゼロベースから考えて分析する思考力であるとしていますが、私にはよく分かりませんでした。そこで、抽象化とはいったい何なのかということを、いまいちど学び直したいと思い、この本を手に取ってみました。

抽象化は人間独自の能力

人間と動物の違いを考えたときに、言葉や数を自由に操れるということが挙げられます。言葉や数を操ることで知識を蓄積し、科学のように役に立つ体系的な理論として構築し、再現可能にすることでさまざまな道具を発展させて活用することが、人間と動物を異なる存在にしているのです。言葉と数を生み出すのに必要なのが、抽象化です。抽象化は、複数のものをまとめて一つのものとして扱うことです。枝葉を切り捨てて幹を見ることで、さまざまな特徴や属性を持つ事実の事象のなかから、他のものと共通の特徴を抜き出して、ひとまとめにして扱うのです。

抽象化するための手順

抽象化とは、複数の事象の間に法則性を見つけるパターン認識の能力ともいえます。関係性を一般化して法則にできる抽象化能力もあります。これは、事象を個別に見るのではなく、ある程度の複数の事象をまとめて上から眺めることが必要になってきます。上から眺めるということは、別々の事象から共通点を見出して、ひとくくりにまとめるということです。抽象化できる人は、要するに何なのかをまとめて話すことができます。膨大な情報を目にしても、つねにこれらの個別事象の間から構造を抽出し、なんらかのメッセージを読み取ろうとすることを考えているからです。


抽象化というのは、共通点を見つけて枝葉を切り取ることであり、パターン認識であることが分かりました。冒頭の落合陽一さんの、物事をゼロベースから考えて分析する思考力であるという定義と比べてみると乖離があるように思いますが、これは抽象化することで、具体としての前例から離れて、新たな視点から物事を捉えるという意味なのではないかと想像しました。何かを生み出すときには、一度抽象化して、具体的な物事から離れることが必要だと言っているのではないでしょうか。また、本書でも触れられていたのですが、抽象化の練習には読書が最適であるそうです。文章は具体と抽象の行き来からなり、それを捉えることにより、理解をしていくという作業が必要になります。そのためには、理解できるかできないかのギリギリのところを突くような読書だと良いのですが、読書をしていると概して「もう知っているよ」という話か「全然理解できないんだけど」という話のどちらかに偏ることが多く、後者を理解できるように、読書量を増やしていくことも必要かと思います。

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